有楽町の充電スポット

有楽町、交通会館、ときたら「ソフトクリーム」と決まっている。通りがかったが最後、絶対に避けられない。交通会館の物産館「北海道どさんこプラザ」にあるソフトクリームスタンドである。

北海道らしく、ミルクと夕張メロン、そしてふたつを合わせたミックスがあり、わたしはミックスが好きだ。圧倒的なお得感。週末は行列になっていることも多いけれど、平日はすんなり買える。それでも、券売機の前にはたいてい2〜3人が常にいて、みな片手で小銭をチャリチャリさせながら、ミルクかメロンかミックスかと、看板を見上げて悩んでいる。なぜか、若い人は少ない。

すぐ横には、コの字に凹んだ飲食スペースがある。5〜6人も入れば満員の小さな場所で、大人たちがみな突っ立って、ソフトクリームを食べている。スーツのおじさん、派手なワンピースのおばあさん、年齢不詳のバックパックを背負っている青年、そしてわたしのようなおばさん。

会話は聞こえてこない。ここに集う人たちは、たいていひとりだ。ひとりで黙々と食べ、コーンに巻いた紙や空になったカップをくしゃっとやって、さっと帰っていく。わたし調べでは、サラリーマンのおじさんたちはコーン率が高く、おばさんはカップが多い。

ひとり客が多いと書いたけれど、スーツ姿の男性が連れ立って食べていることもある。おそらくは外回りの途中で立ち寄った同僚、もしくは上司と部下といったところだろう。「うまいですね」「ああ生き返る」なんて言いながら、あっという間に食べきったときには、少し元気な顔になっている。

似たような光景は、デパ地下のジェラート売り場でも見られるけれど、こちらは主婦が圧倒的に多い。ソフトクリームのスタンドは、駅のホームの立ち食い蕎麦と同じくらいの引力で、しかしまったく別の立ち位置として存在する不思議な惑星のようだ。
あっという間に溶けてしまう、そして家では食べることができない、そのはかなさもいいのかもしれない。なによりあの、唯一無二のうずまく形。ソフトクリームには夢がある。

甘さと冷たさで喉とこころをうるおし、ほんのわずかなときめきを胸に、またみんなそれぞれの場所に向かっていく。

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