学童のお弁当
娘が学童に通うことになるにあたり、ずっと気にかかっていたことがあった。
働く親たちが口を揃えて「大変だ」と言う、”長期休みのお弁当”である。
保育園では、毎日、土曜保育であっても作りたてのおいしい給食を出してくれていたけれど、(なんなら手づくりのおやつまで!)学校の給食は、そうはいかない。
学童に通う子たちは、新学期がスタートしてから給食が始まるまでの間や、夏休み、冬休みなどの長期休みにはお弁当を持参することになる。
これまでは、お弁当なんて半年に一度作るだけだった。それも遠足という「ハレ」の日のお弁当。子どもも数日前からわくわくしていて、「おにぎりはお顔にしてね」「ミートボールとお花のかたちのウインナー入れてね!」と、あれこれ細かいリクエストがある。デザートのフルーツも、いちごとマスカット、とかちょっとゴージャスになったりするし、りんごには張り切って飾り切りも施した。
対して今度は、毎日もっていく「ケ」の日のお弁当。
朝の支度と並行するのだから、そんなに時間はかけられない。でも、小学校への新しいステップが、まずは学童スタートになる子どもに、少しでも不安を取り除く一助でありたい。お弁当のひとときを楽しみに感じてほしい。いや、でも毎日キッチンばさみを駆使して海苔で作った目や口をおにぎりに貼るのは無理である……。
そんなこんなであれこれ考えた末、結局、無理のない、頑張りすぎない「ふつう」のお弁当を持たせることにした。

この日は生活クラブの冷凍ミートボールを使いました。いぶりがっこは、娘に不評。
2週間、毎日お弁当を作ってみて感じたのは、夕飯からお弁当へのくり回しがいかに大切か、ということ。それから、無理はしないこと。
夕飯を作らず、前日の残りの豚汁にうどんを入れただけ……なんて日の翌日には、お弁当に入れるものがない!となる。
ちょっとした隙間を埋める副菜や箸休めは冷蔵庫に常にキープしておくとか、梅干しやゴマひとつで見栄えは全然違うとか、夕飯のおかずの一部を、何かのかたちでお弁当用に残しておく、とか。便利だったのは、ちょうど時期だからと仕込んでいた金柑の甘露煮。ほどよい甘さは味のアクセントになるし、シウマイ弁当のあんずみたいな存在かな、と思いながら。
いつものご飯作りもそうだけど、ほんの少し先のことに目を向けて、準備をしておくだけで朝の時間がぐんと楽になる。そのくり回しがおもしろくて、気づいたらお弁当作りが楽しくなりはじめたころ、2週間という期限はあっという間にきてしまった。
お弁当用に、と思っていたのに使いそびれたおかずが冷凍庫に残っている。シリコンカップに小さく切ったパスタを入れ、ミートソースをかけておいたもの。朝、チーズをのせて焼いて詰めるつもりだった。
次にお弁当を作るのは、夏休みかな。その前に、一度自分で自分のためにこしらえたお弁当を食べてみようかな、と思っている。
我ながら、来る日も来る日も同じようなお弁当だったなぁと思う。のり弁は発売中の「dancyu」で見てやってみたら、娘から翌日もリクエストがきた。おいしいよね、のり弁。
ミートソースを作った翌日は、ご飯と炒めてオムライスにした。
お弁当箱は、3〜4年前にふるさと納税の返礼品でもらった大館の曲げわっぱ。ずっと使う機会がなかったけれど、ようやく日の目を浴びてうれしい。